労働者雇用に有益な助成金ご紹介
助成金と補助金を受けていらっしゃいますか?
かつて990年後半から2003年ごろまで、社会保険労務士の仕事の中で一番利益を儲かるのが、助成金・補助金の申請だそうです。
民主党政権で事業仕分けが行われるようになると、助成金に対する考え方が変わり、いろいろな助成金が売り切られるようになり、助成金自体もだいぶ少なくなりました。
今でも、事業の助けになる助成金や補助金は多くあります。
その中で、労働者を雇用するのに役に立つ助成金についてご紹介します。
助成金と補助金の違い
ところで、助成金と補助金の違いって知っていますか?
似ているようでじつは異なるものなんです。
簡単に言うと、助成金は助けてくれるお金、つまり、一定の要件さえ満たせばお金を出してくれると言うもの。
補助金は、ある事業の遂行の補助をするためのお金のこと。
だから、補助金はその使われ方について、領収書や決算報告などを提出してチェックを受ける必要があります。
何の気なしに助成金を申請してお金をもらったけど、実際にその事業を始めるまでには至らず、かといって他の事業には使えないので、どうやってお金を使うか困っている、と言う話も聞いたことがあります。
助成金は、基本は使われ方をチェックされることがありませんので、予定していた事業がうまく立ち上がらなかったとしても、別の事業に転用することができますのでだいぶ楽です。
労働関係の助成金のご紹介
労働者を雇用するための助成金として、厚生労働省が管轄する助成金をご紹介します。
なお、雇用関係の助成金の申請ですので、申請の代行や、助成金受給に伴う規程の作成は社会保険労務士しか行うことができません。
誰でも簡単に申請できる
助成金の申請というと面倒臭いように感じる方もいらっしゃいますが、雛形通りに記入してハローワークに提出すれば、問題がある場合はその場で指導・修正されますので、社会保険労務士に依頼することなく比較的簡単に申請することができます。
キャリアアップ助成金
厚生労働省関係の助成金としては、キャリアアップ助成金が今の旬です。
正社員化コースと処遇改善コースの二つのコースがあります。
正社員化コース
正社員化コースは、20名を上限として、正社員化や処遇改善の取り組みをした場合に、規定額を助成するものです。
中小企業の場合の助成金額の詳細は以下の通りです。
- 有期→正規57万円(生産性の向上が認められる場合72万円)
- 有期→無期28.5万円(生産性の向上が認められる場合36万円)
- 無期→正規28.5万円(生産性の向上が認められる場合36万円)
処遇改善コース
処遇改善コースは、さらに以下のコースに別れます。
- 賃金規定改定コース:最大36万円を非正規や有期雇用に適用する賃金規定を制定した場合に支給。
- 健康診断制度コース:最大48万円を、非正規社員も含めた
- 賃金規定等共通化コース:最大72万円
- 諸手当制度共通化コース:最大48万円
- 導入時処遇改善コース:再大9.5万円
就業規則の制定がマスト
いずれのコースも、就業規則の制定が大前提となります。
これは、雇用労働者が10人以下の事業所においても当てはまります。
また、いずれかのコースを実施するにあたり必要な規程の制定も求められています。
申請自体は簡単ですが、社内に各種制度を導入する手間は結構大きいと言えます。
制度の整備は申請後
ただし、制度をきちんと整備するのは、助成金の申請ごとなりますので、制度をきちんと整備するための時間には余裕があります。
例えば正社員化コースは、申請前に有期雇用者が正社員に転換してしまうと助成金の対象とはならないなど、助成金の申請はあくまでもスタートラインに立った、ということになります。
詳細は「キャリアップ助成金パンフレット」に記載されています。
こちらには、キャリアップ計画の雛形はありませんが、記入内容は、どんな感じで計画を進めるのかとか労働者への周知方法、計画の期間などを記入するだけで問題ありません。
生涯現役起業支援助成金
40歳以上の人が、起業によって自らの雇用機会を創出するとともに、事業経営に必要となる従業員の雇入れを行う際に要した、 雇用創出措置(募集・採用や教育訓練の実施)にかかる費用の一部を150〜200万円を上限として助成する制度です。
また、助成金を受けた後に、別途生産性向上に関する助成金を受けることができます。
雇用創出措置に関する費用とは、募集・採用に関して要した職業紹介所の利用費用や求人広告費用などとともに、自社を紹介するためのパンフレット等の作成費用や説明会開催に要した費用も含まれます。
助成金を受給できる要件
助成金を得るための要件として、以下のものが挙げられます。
- 起業基準日から起算して 11 か月以内に「生涯現役起業支援助成金 雇用創出措置に係る計画書」を提出し、都道府県労働局長 の認定を受けていること。
- 次のいずれかに2つ以上に該当していること。
- 雇用創出措置にかかる計画書を提出し、都道府県労働局長の認定を受けていること。
- 国や地方公共団体、金融機関等から直接または間接的に仕事を受注している
- 起業者自身が、該当する事業分野で10年以上の職務経験を有している
- 起業に当たって金融機関からの融資を受けている
- 法人または個人の資産が1,500万円以上あり、資産から負債を引いた額が残高が、総資産額の40%以上であること。
- 計画期間 内( 12 か月以内) に、対象労働者を一定数以上(※)新たに 雇い入れること。
- 支給申請書提出日において、計画期間内に雇い入れた対象労働者の過半数が離職していないこと。
- 起業日から起算して支給申請日までの間における離職者の数が、計画期間内に雇い入れた対象労働者の数を超えていないこと。
詳細については「生涯現役起業支援助成金ガイドブック」に記載されています。
このガイドブックには、助成金申請のための例も掲載されており、例を参考に各社の状況に応じて記載すれば、簡単に申請することができます。
まとめ
助成金・補助金のうち、労働者の雇用等に関する助成金2つについてご紹介しました。
助成金は、申請やその後の処理が面倒ですが、雛形に基づききちんと処理すれば、誰でも受給することができます。
助成金ですから、きちんとハローワークとのやりとりを行えば支給され、使い方を細かくチェックされないのも魅力です。
条件が特殊なので、全ての会社が受給対象となるわけではありませんが、対象となる会社の方は申請してみてはいかがでしょうか。
助成金の申請代行や、計画を進めるための制度の構築自体は社会保険労務士の仕事になりますが、「みんなの総務部」では、コンサルティングは可能です。
興味をお持ちの方は、ぜひご連絡ください。