小さな会社の情報投資の負担を軽減するには
現代のビジネスは、パソコンを使わないと話になりません。
パソコンどころか最近では、スマホやタブレットも駆使して仕事をしないと、大事な機会を逃すようになりました。
しかし、中小企業にとって、全社員分のパソコンを用意することは、楽なことではありません。
増える情報投資の負担
最近は安価になったといってもパソコンは一台4万円くらい、それなりに使える性能だと6万からやっぱり10万円くらいかかってしまいます。
10万円なら、10台まとめれば100万円になってしまいます。
投資は回収できるか?
いくら経費になるとはいえ、その数十万がどれくらいの期間で回収できるのか、数十万の投資がどれくらいのリターンがあるのかは、経営者にとってはとても重要なことです。
最近はスマホとタブレットも必要になってきた
さらにスマホだタブレットだとなると、どれだけ情報システムに関する投資がかかるのか、考えただけでも恐ろしくなります。
BYOD
BYODという言葉はご存知でしょうか。
企業のIT設備に詳しいひとだった誰でも知っている言葉です。
Bring Your One Device
日本語に直すと、自分自身のデバイスは自分で持ち込む、という意味ですが、従業員が私的なデバイスを社内に持ち込み会社業務に使うことを意味します。
ここでいうデバイスとは、日本の場合は携帯デバイスを指すようですが、ノートパソコンもデバイスの一つであり、個人のノートパソコンを仕事に使っているケースもあることはあります。
特に小さな会社では、各自が個人で購入したパソコンを仕事に使うケースはとても多いと思います。
BYODのメリット
ここで、個人のデバイスを仕事に使うメリットについて考えてみましょう。
IT設備費が少なく済む
会社の情報投資に関する費用が少なくなるということが、一番のメリットでしょう。
BYODを推進するためには、会社もある程度の費用を負担するくらいの覚悟があってもいいと思いますが、小さな会社ではなかなかそういうわけにもいかず、当たり前のようにパソコン購入額の全額を社員が負担しているケースはかなり多くなっています。
生産性が上がる
社員が使い慣れている機種なため、社員の生産性が上がる可能性があります。
会社支給のパソコンだと、必ずしも自分が使いたいパソコンとは限ら無いので、社員のやる気が落ちてしまいます。
また、自己所有のパソコンですから、ある程度自由に事業所から持ち出すことができるので、出張先や自宅で仕事することの抵抗が少なくなります。
BYODの問題点
費用面や社員のやる気という面で、BYODには結構問題もあります。
ウィルスなどに感染する可能性が高くなる
自分の端末ということは、インストールしているソフトも自分で管理することになるため、ちゃんとしたウィルス対策ソフトを入れているかどうかも社員任せになります。
コンピュータウィルスの厄介なところは、そういったウィルスに脆弱なパソコンを必ず見つけ、そこからネットワークを通じてサーバーや、その他のクライアントにどんどんウィルスをばら撒いてしまうことです。
社外からの攻撃にしっかり防御したとしても、社内から社外へは、メールやWebの閲覧などで常に通信が行われているわけで、それらに紛れてデータを出してしまえば、簡単に社内情報を外に漏らすことができます。
個人だのみのソフトウエア管理による互換性問題
最近は、社内での情報交換や勤務管理どころか、金銭の管理である出張旅費や外出交通費、賃金明細すら社内ネットワークのオンラインで提供するようになりました。
これらのサービスへのアクセスには、パソコンに内蔵されているインターネットブラウザを使います。
ところが、ブラウザによって、提供できる機能が異なっていたり、情報の見え方が異なったりして、同じブラウザといっても、それぞれいろいろな動作をすることがあります。
これらを防止するためには、サービスを使う場合のインターネットブラウザの種類とバージョンを制限したりするわけですが、BYODの場合、最新パソコンですと古いブラウザが内蔵されていなかったり、WindowsとMacでは、同じブラウザでも見え方が異なったりと、結構複雑な感じになっています。
また、仕事で使用するソフトウェアの互換性についても気をつけたいところです。
会社ファイルの流出
個人用パソコンに会社のファイルを保存して事業所外に持ち出すことから、会社のファイルが関係社外に流出する可能性が大きくなります。
ウィルスだけでなく、置き引きとか家族のいたずらによる情報流出の可能性も高くなります。
小さな会社で不可避なBYODを成功させるための小さな工夫
経費を考えると、小さな会社でのBYODは不可避です。
しかし、一般的には、大事なデータが入ったサーバーからの情報漏洩の危険性を考えると、パソコンまでBYODというのはちょっと危険です。
しかし、ちょっとした工夫があれば、ある程度の情報漏洩は防げます。
BYODのためのルールを作る
BYODを成功させるためには、BYODのためのルールを作成することです。
個人のパソコンを仕事で使うことを容認しつつ、情報漏洩対策のためのルールを定めます。
会社指定のウィルス対策ソフトを導入を条件とする
ウィルス対策ソフトは必ずしも万全ではありませんが、ないよりはマシなので、会社負担で個人のパソコンにウィルス対策ソフトを導入するようにします。
定期的に会社のチェックを受ける。
ウィルス対策ソフトの定義パターンが定期的に更新されているか、OSや仕事で使うアプリケーションはきちんと更新されているか、会社が定期的にチェックすることを受け入れるか、定期的にアップデートしていることを報告させる。
ファイル管理のルールを定める
仕事で使うファイルは、個人のパソコンには保管しないルールとし、そのためにクラウド型グループウェアなどを活用し、仕事が終わったファイルはすぐに会社のファイルサーバーに保管してもらうようにします。
ルール通りきちんと運営しているかどうかの確認はなかなか難しいので、年に一度、ルール通り運用しているか報告させるといいでしょう。
全ファイルにパスワードをかける
仕事で使うファイルに全てパスワードをかけるようにします。
パスワードは全社統一したものとして社員に別途連絡することで、パスワードが必要な手間を少しでも軽減します。
まとめ
少しの手間で、BYODを実現できるようになりました。
その他にも、BYODで情報セキュリティを実現するための方法はいくつかありますので、興味のある方はぜひお問い合わせください。