規則・規程・手順の役割を理解しよう
知り合いが県から請け負った人材育成に関する講習会について、トラブルがあって困っていると半ば怒りながら話をしてきました。
話を聞いていると、規則、規程、手順という、組織の中の文書の運用に関して、陥りがちな典型的な内容に思われました。
自己啓発の講習会でのトラブル
なんでも、講習会の講師の大学の先生が、インターンシップの一環ということで学生をアシスタントに連れてきたのです。
事前に登録されていない人の参加は事前に申請が必要
その講習会は、事前に登録された受講者、講師、事務局以外の者が講習に出席する場合は、前日までに主催者である県に連絡しなければならないことになっているとのこと。
事務局の不手際で事前連絡がなされていなかった
そして今回の講師の人のアシスタントは、事務局の不手際で前日までに主催者に連絡をしていなかったとのことで、主催者は、アシスタントの学生の講習会場への入場は認めないの一点張りだったとのこと。
規則が唯一の理由という非効率
認めない理由は「部外者の入場は前日までにすることと決まっているから」の一点張りで、なんとも融通が利かなかったと。
結局は講師のアシスタントは講習会場に入場することができずに、なぜか主催者が預かって資料室で資料閲覧で社会勉強したとのこと。
本来の目的は?
なぜ、部外者の入場は前日までと決まっているのかが問題です。
自己啓発の講習会は、参加者が結構テンパっていることが多く、気を許した人以外の参加を嫌がる傾向にあります。
事前に受講者に部外者の参加について連絡するなどのために、前日までに部外者の連絡をするように決まっていることは、とても気が利いていると思います。
こういったことで決まっている手順であれば、その旨をきちんと説明した上で対処方法を検討しなければなりません。
規則・規程と運用手順のレベルをごっちゃにしていないか
規則・規程の内容はできる限り守る必要があります。
しかし、規則・規程を運用するための手順は、規則・規程と文書的なレベルが異なり、その内容は手順を定めたものですから、守らないとしても規則・規程を制定した目的と乖離することなく大きな影響はないはずです。
文書のレベルを理解しよう
規則、規程、手順のレベル差を理解していない人がとても多いです。
文書はなるべく少ないほうがいいと、規則レベルの文書に手順レベルの内容を盛り込もうとする人すらいます。
しかしこれは、私たちのわかりやすい法律でいれば、道路交通法に、青切符の原点数を違反別に明記するようなものです。
細かい違反の内容を変更するたびに国会で審議することになり、交通取締りが交通事故などのトレンドに全く対応できないことになってしまいます。
規則、規程、手順のレベルは、以下のようにするといろいろとうまく回ります。
- 規則:経営レベルでの方針で、文書の最終権限は株主総会
- 規程:経営レベルの方針に対する会社の対応指針で、文書の最終権限は取締役会
- 運用手順:会社の対応方針を実際に対する実行手順で、文書の最終権限は組織の長
受講者の気持ちも重要
受講者の中には極端に事前に決まっていないことが起きるのを嫌うひとがいます。
直前に部外者が参加したいといった場合、運用手順に関する変更ですから、組織の長の判断で、直前でもいいから受講者に許可を求めるなどをするなどの、臨機応変な対応があってもいいでしょう。
受講生の1人でも直前の部外者の参加に否定的な意見が出てくれば、ダメというような感じで運用をその場で変更して、何ら問題ないはずです。
イジワルということもあるが
今回のケースでは、主催者の担当者は事前に部外者が参加する事を知っていて事務局から連絡がないことも理解していたにもかかわらず、当日になって初めて、事前連絡がない部外者は講習会場に入場できない規則になっていると言い出したそうで、なんか、いじわる感満載ではあります。
担当者は、日常的に打ち合わせにも本人が出席せずアルバイトに担当させていたそうですから、残念な担当者に当たってしまった不幸というのもあるかもしれません。
責任者の存在価値
規則ばかりで上手く物事が運用できるのであれば、主催者は責任者など要らず、極端な話、アルバイトでも問題なく物事を運用できます。
運用手順のようなより細かいルールを定めたものは、全ての問題を想定して規定することは到底できず、現場で判断しなければならなくなることが多くなります。
文書のレベルを理解して現場で柔軟な対応が取れるようにしよう
文書のレベルをきちんと運用すると、現場で問題が起きた時に、大きな問題を起こすことなく臨機応変な対応ができるようになります。
ぜひ、皆さんも、組織の規則・規程・手順の関係をきちんとしたものにしてみませんか?