災害時の通信手段を検討してみましたその2(全3回)
災害時でも使える通信手段の検討2
衛星電話
衛星電話は、携帯電話の基地局の役割を宇宙空間にある通信衛星が行いますので、地上の風水害の影響を受けにくいという特徴があります。
また、料金が若干高めで端末も大きいため、利用者が少ないことから、災害時に通話が集中して使えなくなるということが殆どありません。
私はNTTドコモのワイドスターというサービスを東日本大震災の時に東京で使用したことがありますが、地震直後で固定電話や携帯電話では全く使えなかった時でも、何の問題もなく各地と電話することができました。
ワイドスター
NTTドコモが展開する衛星電話サービスです。
毎月の基本料金4,900円で利用することができ、基本料金の中に1,000円分の通話料金が含まれています。
ただし、携帯電話に比べるとかなり大きく、移動させることはできますが、携帯電話のように手軽に持ち歩くというわけにはいきません。
それでも、バッテリーで動かすことができるので、災害時に携帯電話の基地局がダウンしても電話できるので、これ一台あれば、災害時に県外とコミュニケーションするにはとても便利です。
通話90円/分と通話料も高くないので、全国規模で展開する会社の本社や支店ごとに一台おいておくと、災害時にはとても役に立ちます。
ちなみに、災害時にNTTドコモが避難所などに設置する災害用電話は、このワイドスターを利用したものです。
スラーヤ
アラブ首長国連邦の所有する通信衛星を利用した、衛星携帯電話サービスです。
日本では、日本デジコムとソフトバンクがサービス展開しています。
基本料金が4,900円に1,000円分の通話料金が入っていて、携帯電話と同じ感覚で衛星携帯電話を持つことができますが、通話料金自体は160円/分と若干高めです。
また、長野県と群馬県や千葉県などの電波天文台などの宇宙電波観測施設がある件では、使用が制限されているのが難点です。
基本料金は比較的安価で電話機本体も小型なので、非常用備蓄品として用意しておくと、いざという時に便利でしょう。
イリジウム
ワイドスター以外にも衛星通信を利用した携帯電話はたくさんありますが、全て基本的に静止衛星を利用したサービスです。
静止衛星は赤道上空36,000Km上空というかなり遠方にあるので、音声が遅れて伝わってきて、スピード感のある会話がしにくくなります。
この欠点を補うために、地上から近い位置を飛ぶ通信衛星を利用しているのがイリジウムです。
地上から衛星までの距離が短いので、音声の遅れが少なくてすみ、また、アンテナなども小さくてすむことから、一般的な携帯電話と同じような感覚で使用することができます。
最近は、このイリジウムネットワークを利用したトランシーバーも登場し、災害時でも使えるトランシーバーシステムを構築することができます。
日本ではKDDIが展開していて、毎月の基本料金は5,900円からと、比較的安価になっていますが、一般の電話機との通話は国際電話料金が必要になるので、165円/分と、通話料金は高めです。
その3では、更に災害に強いと言われる、従来方式の無線通信手段について検討します。
その3に続く