災害時への対応は事業継続計画で
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台風15号は千葉県に多大な被害をもたらしました。
そしてまた、更に大型の台風が、関東に近づいてきています。
前回の教訓は、生かされるのでしょうか。
インターネットの時代の停電は命取り
災害から一週間以上にわたり、千葉県南部に停電をもたらしました。
千葉県というと、幕張や千葉など、海に近いイメージがありますが、南部を中心に結構山間部が多くなっています。
そして、その山間部に送電線が通っています。
送電線を支える鉄塔や電柱のうち、特に山の中にあるものの多くが強風の被害受け、山の中であることから大型の重機が入ることができる、修復に時間がかかってしまいました。
地震による停電は3日ぐらいで復旧することが多いですが、風水害の被害は広範囲に及ぶため、停電の復旧には時間がかかるようです。
しかも今回の千葉県の停電は、山奥の道の狭い山奥での送電線の被害が多く、想定以上に修復に時間がかかったようです。
それ以外にも、福島第一原発への対応の負担が大きい東京電力は、メンテナンス費用をできる限り節約していそうで、それもまた、長期間の停電の原因と言えそうです。
携帯電話の基地局が停電で止まった
今回の災害では、通常の災害では止まることのない携帯電話のサービスが止まったことです。
携帯電話基地局の停電は3日間で復旧で設計
携帯電話の基地局は、通常は停電になっても72時間程度は稼働するようにバッテリーなどが設置されています。
72時間といえば3日間です。
携帯電話の基地局は、3日間は停電に耐えられる設計になっているのです。
これは、災害対策の備蓄も3日間は用意するように推奨されていることと同じです。
大規模災害は、通常は3日程度は自己解決してそれ以降は救援が来るのでなんとかなるという考え方です。
しかし今回の台風での停電は、3日過ぎても復旧しませんでした。
固定ネットワークもダウン
停電によりネットワーク全体がダウンしたので、固定回線も使えない場所があったようです。
これにより地方自治体の通信網もダウンし、被災地の状況が全くわからないという状況に陥りました。
携帯電話の基地局が稼働していたとしても、基地局からの先がダウンしてしまって、結局携帯電話が使えないということもありました。
最新のトランシーバーも使えない
現在の業務用無線通信は、従来の専用の無線チャンネルを使った一対一の通信ではなく、携帯電話のネットワークとインターネットを使ったIP無線というシステムに変わりつつあります。
IP無線は、携帯電話が使えるところであれば全国で使え、毎月の利用料は携帯電話より安価であるということで、手軽に全国レベルで使える無線システムとして、今業務用無線システムの中で大流行です。
地震などの災害時にも使えることが多かったので、災害時にも問題なく使えるシステムとして、従来からIP無線を使っていたタクシーばかりでなく、全国規模で事業所が展開されている企業に、非常時の連絡手段に続々と導入されています。
今回は、長時間かつ広範囲の停電で、そのIP無線が使えなく自体が発生しました。
携帯電話のネットワークが使えなければ、IP無線は全く機能しません。
今流行りの無線システムは、災害時には必ずしも適切ではないということがわかってしまいました。
通信手段のバックアップの準備は現実的でない
停電時に機能する通信システムとして、バックアップを用意するという考え方があります。
トランシーバーの使える範囲は数Km
従来型の無線システムは、トランシーバーに内蔵されるバッテリーで使えるので、停電時でも確実に使うことができます。
ただし従来型のトランシーバーは、郊外でも数Kmの範囲でしか通話することができません。
企業であれば敷地内、地方自治体であればせいぜい町内での使用に限られてしまいます。
非常時に使うために、日頃からバッテリーなどのメンテナンスも必要で、結構面倒です。
衛星電話も長期停電には不向き
災害時には、確実な連絡手段はほとんどありません。
人工衛星を利用した携帯電話であれば災害時であっても確実に連絡手段を確保できますが、通話料金が高く、電話機本体が普通の携帯電話よりは嵩張るので、あまり一般的ではありません。
バッテリーもあまり持たないので、長期間の停電には不向きでしょう。
結局のところ、災害時には連絡手段がなくとも自立して行動ができるよう、日頃から行動方針を決めておくようにするといいでしょう。
事業継続計画の策定を
バックアップを準備しておくことは重要ですが、災害が発生した時の手順を予めてきめておくことが、災害に対してはかなり有効です。
企業では、事業継続計画(BCP)を作っておくといいです。
BCPは、作成が大変そうに感じますが、意外と簡単に作成できます。
BCPと言わないまでも、災害時の行動指針みたいなものを作っておくと、いざというときにとても役に立ちます。
鉄道が普通になったら、社員は出社の要無しとか、基準を超える台風が12時間以内に近づく場合は、社員を相対させるとか。
週末2日休んだり、たまにある祝日で1日ぐらい会社が休みになっても何も問題ないんです。
災害を避けるために1日ぐらい会社が機能しなくたって、会社が潰れることはありません。
逆に、無理に社員が出社して交通事故などに遭遇した場合のほうが、会社にも計り知れないダメージが長期間に渡って続くはずです。
計画を作ったら訓練をしよう
ところで、いくらBCPとか災害対応計画とかを作っても、実際に社員に周知し日頃から訓練をしておかないと、宝の持ち腐れです。
訓練をしておけば、いざという時でも迷わず行動できるようになります。
訓練というと、大声を出したりしてちょっと照れくさい、恥ずかしいと思う方が多いと思います。実は、私もそうです。
無理して恥ずかしい思いをしても、訓練の成果はあまり身につきません。
訓練方法を見直して、まずは全員で計画の読みあわせをするとか、社長が自らが説明をするとか、大声を出さなくても良い訓練をするといいです。
きっと社員の真剣度が増すはずです。
いつ来るからわからない自然災害は、きちんと訓練して、自然災害時の行動をきちんと見直しておきたいものです。
効果的な災害対策は経験から
今回の千葉県における台風被害のうち、特に長期間の停電については、今後、様々な研究者が調査を行い、新しい防災対策が検討されることと思います。
防災は、用意していたとしても、常に新しい問題が発生します。
だからといって、何も用意していないと、大きな犠牲が発生することになります。
自分たちの規模で出来る範囲の準備をして、常に新しい情報を取り入れて、改善を図ることが重要です。
これはまさに仕事と同じことです。
企業にとって、防災計画は、仕事の一環であると考えればいいはずです。
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